ART WORKS
彼の絵画は観たところ動的な衝撃でキャンパス上にぶつけられた肉体の動作の結果に見える。しかし、作品が発散する生命の力と美の力を支える繊細な観念がそこに潜んでいる。古代正字法の記号は、根元が生えるにつれ、区別がつかないほどにどんどん絡まり縫れてゆく。これらは、全ての生命の源である水に、あらゆる人類文化の源であるロゴスの記号に、そしてそれらの縺れて解けない絡まりに、想いを馳せさせる。楮の和紙という土台と墨は冨森の創造的衝動で溢れるようだ。富森はしかし作品の中に光と色のバランスを吹き込むことも知っている。そのバランスで、白と黒は作品を構成する6つの板の中で拮抗し合う。
浮遊する時空の想像上の舞台芸術。彼の作品は、地下で分岐していく原始的な「根元」をも、また、地上で絶え間なく打ち砕けては再生する「波」をも想起させる交配された記号が、自立した言語で振動し発展していく力を持つ。水は生命の神秘を隠しているようだ、それは形を変えるがために力強い、どんな形にも適応するようでいて、しかし実際には、自身と共に、自身のほかのものをも、形を「越えさせる」のだ。アーティストは語る。
最初に水があった。
その心の形を覚えている。
そしてその最初の歌を象にする。
ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」の中でも流れる川と水は生きる集合体となり、そして「その神秘を理解することのできた者は、他の多くのこと、多くの神秘、全ての神秘をも理解できたのだ、と彼は感じた」のだ。冨森がフォルムの神聖の中に捉え、形を変えたような神秘だ。ほとんど音声的な次元に気付く。消滅した言葉の古来の記号をゆさぶり、そこに生命を与えながら作品に浸透する一種の全宇宙的な放射。それぞれの要素が絡み合うこと、それは強くてしかし同時に軽やかでもある開放を通じて発生する。3つのパネルの2つの集合体の色調の反転の中で、茂みの分枝が波間を彷徨うように、鏡に映るように、浮遊する、深い濃密さ、で驚嘆を与える文字とシナプスの結び目、それが作品を構成する。
明確に演奏される多くの構成部分からなる、シニフィアンとシニフィエ、イメージとその反響が見事な熟練技と手法の洗練を定義する、フォルムの交響曲だ。

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯1
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W1580 H910 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯2
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W1580 H910 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯3
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W1580 H910 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯4
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W1580 H910 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯5
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W790 H1450 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯6
Mixed Media 石灰岩 , 真珠岩 , アクリル , 木製パネル
W790 H1450 D45

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯7
Mixed Media 楮紙 , 墨 , 木製パネル
W790 H1450 D40

2021
骨と空
陰翳 , その象 ♯8
Mixed Media 楮紙 , 墨 , 木製パネル
W790 H1450 D40


2022
いろはうた/ improvisation #い
石灰岩、真珠岩、箔、アクリル、パネル
W165 H200 D160


2022
いろはうた/ improvisation #ろ
石灰岩、真珠岩、箔、アクリル、パネル
W165 H200 D160


2022
いろはうた/ improvisation #は
石灰岩、真珠岩、箔、アクリル、パネル
W165 H200 D160

2022
神の肖像
とどまることのない純粋なエネルギーの流れ #1
石灰岩、真珠岩、箔、アクリル、パネル
W1160 H1160 D40

2022
神の肖像
とどまることのない純粋なエネルギーの流れ #2
石灰岩、真珠岩、箔、アクリル、パネル
W1160 H1160 D40